
こんにちは。
相続遺言専門 行政書士宮武事務所の代表、行政書士の宮武勲です。
私は年金の専門家である社会保険労務士でもありますので、今回は社会保険労務士として本記事を執筆させていただきます。
「家族が亡くなって、自分が遺族年金をもらえるかどうか分からない」という方もおられるのではないでしょうか。
特に、一家の大黒柱となっているご家族が亡くなられた場合は、ご遺族への影響は大きく、遺族年金が受け取れるかどうかは、大切なことかと思います。
そんな方のご参考に少しでもなればと思い、本記事では、遺族年金について、種類・受け取るための条件・年金額・請求手続等についてご説明させていただきます。
1 遺族年金とは
働いていたご家族や年金をもらっていたご家族を亡くされた方で、一定の条件に該当する方は、「遺族年金」を受け取ることができます。
遺族年金には、亡くなられた方が自営業者・専業主婦等だった場合に受け取れる「遺族基礎年金」と、亡くなられた方が会社員・公務員等であった場合に受け取れる「遺族厚生年金」があります。
なお、亡くなられた方が会社員・公務員等であった場合は、「遺族厚生年金」だけではなく「遺族基礎年金」も受け取ることができます。
しかしながら、必ず受け取ることができるというわけではなく、上述のとおり一定の条件があります。
その条件が、受け取とる方(ご遺族)の条件と、亡くなられた方の条件になります。
それぞれについて、以下の「2 遺族年金を受け取れる方(受給対象者)」と「3 遺族年金を受け取るための条件(受給要件)」でご説明させていただきます。
2 遺族年金を受け取れる方(受給対象者)
(1)遺族基礎年金
亡くなられた方によって生計と維持されていた(亡くなられた方と同居していた又は別居で仕送りされていた等、ご遺族の年収850万円未満)以下のご遺族が、遺族基礎年金を受け取れることができます。
・子のある配偶者(子は18歳になる年度末までの子、又は20歳未満で障害等級1級か2級)
・18歳になる年度末までの子 (又は20歳未満で障害等級1級か2級)
(2)遺族厚生年金
亡くなられた方によって生計と維持されていた(亡くなられた方と同居していた又は別居で仕送りされていた等。ご遺族の年収は850万円未満。)以下のご遺族が、遺族厚生年金を受け取れることができます。
①子のある配偶者 (夫は55歳以上で受け取れるのは60歳から)
②18歳になる年度末までの子 (又は20歳未満で障害等級1級か2級)
③子のない配偶者(夫は55歳以上で受け取れるのは60歳から)
④父母(55歳以上、受け取れるのは60歳から)
⑤孫
⑥祖父母(55歳以上、受け取れるのは60歳から)
受け取れる優先順位が決まっていて、上記の数字がその順位となります。
3 遺族年金を受け取るための条件(受給要件)
亡くなられた方の年金の加入状況及び年金保険料の納付状況が、遺族厚生年金を受け取るための条件(受給要件)となります。
(1)遺族基礎年金
亡くなられた方が以下のいずれかに該当する必要があります。
①亡くなられたとき、国民年金に加入していた
②亡くなられたとき、国民年金に加入していて、60歳以上60歳未満で、住所が日本国内であった
③1級か2級の障害厚生年金を受け取っていた
④亡くなられたとき、老齢厚生年金を受け取っていた
⑤老齢基礎年金を受け取れる資格があった
①・②の場合は、国民年金の加入期間に対し、その3分の2以上の期間、保険料を納めている必要があります(ただし、65歳未満であれば直近1年に未納がなければよいという例外あり。)。
③・④の場合は、保険料を納付している期間等が合計25年以上である必要があります。
(2)遺族厚生年金
亡くなられた方が以下のいずれかに該当する必要があります。
①亡くなられたとき、厚生年金保険に加入していた
②厚生年金保険に加入していたときに初めて受診した病気やケガが原因で、初めて受診した日から5年以内に亡くなられた
③亡くなられたとき、老齢基礎年金を受け取っていた
④老齢厚生年金を受け取れる資格があった
①・②の場合は、国民年金の加入期間に対し、その3分の2以上の期間、保険料を納めている必要があります(ただし、65歳未満であれば直近1年に未納がなければよいという例外あり。)。
④・⑤の場合は、保険料を納付している期間等が合計25年以上である必要があります。
4 受け取れる遺族年金の額(受給額)
遺族年金の金額は毎年変わりますが、令和6年度は以下のとおりです。
(1)遺族基礎年金
①子のある配偶者が受け取るとき
昭和31年4月2日以前生まれの方: 年額813,000円 + 子の加算額
昭和31年4月2日以後生まれの方: 年額816,000円 + 子の加算額
②子が受け取るとき
年額816,000円 + 2人目以降の子の加算額
上記の子の加算額は、以下のとおりです。
1人目及び2人目の子: それぞれ234,800円
3人目以降の子: それぞれ 78,300円
(2)遺族厚生年金
遺族厚生年金の額は、亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。
報酬比例部分とは、厚生年金保険の加入期間や過去の給与等に応じて決まる年金額の計算の基礎となる値のことです。計算方法が難しいのですが、厚生年金を既に受け取られていた方は、受け取っていた額が目安にはなります(報酬比例部分の金額自体は、受け取っていた合計額よりは少ない可能性があります)。
なお、65歳以上の配偶者で老齢厚生年金を受け取っている方(又は受け取れる資格のある方)が、遺族厚生年金を受け取る場合は、以下の内、高い方の金額が遺族厚生年金の額となります。
①亡くなられた方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額
②上記①の2分の1額と、受け取られるご本人の老齢厚生年金の2分の1を足した額
5 遺族年金の請求手続
遺族年金を受け取るためには、請求する必要があります。
死亡届の提出などは別に手続きが必要です。
請求にあたり必要な書類は、以下のとおりです。
・年金請求書(日本年金機構HPよりダウンロード可)
・基礎年金番号通知書又は年金手帳等
・戸籍謄本又は法定相続情報一覧図の写し(年金請求書にマイナンバーを記入すれば不要)
・世帯全員の住民票の写し(年金請求書にマイナンバーを記入すれば不要)
・亡くなられた方の住民票の除票
・受け取る方の収入が確認できる書類( 所得証明書・課税証明書・源泉徴収票等、年金請求書にマイナンバーを記入すれば不要)
・お子様の収入が確認できる書類 (義務教育終了前は不要、高校等在学中の場合は在学証明書又は学生証のコピー等、年金請求書にマイナンバーを記入すれば不要)
・死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書
・年金を受け取る口座の通帳・キャッシュカード等(コピー可)
上記の書類を、お近くの年金事務所又は街角の年金相談センターに提出します。
遺族基礎年金のみの請求の場合は、市区町村役場の窓口に提出します(ただし、亡くなられた方が、亡くなられた際に会社員・公務員等の配偶者であった場合の提出先は、 年金事務所又は街角の年金相談センター となります)。
提出後、日本年金機構で審査され、年金を受け取れることとなれば、1か月程度で「年金証書」「年金決定通知書」「年金を受給される皆様へ(パンフレット)」がご自宅に届きます。
上記が到着後1~2か月後に、年金が振り込まれます。
年金は、偶数月に2か月分振り込まれることとなります。
6 おわりに
以上のとおり、遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、ご遺族が必ず受け取れるわけではなく、それぞれ条件(ご遺族の条件と亡くなられた方の条件)があります。
このため、まずはその条件に該当しているか確認することが必要です。
一方で、遺族年金が受け取れない場合でも、受け取れる可能性がある年金等もあります(未収金年金、寡婦年金、死亡一時金)。
ご自分で、条件の該当について確認するのが難しいようであれば、お近くの年金事務所又は街角の年金相談センター、専門家である社会保険労務士に相談した方が良いでしょう。
遺族年金の請求手続は、請求書類の作成、必要書類の取得など手間と時間がかかります。年金事務所まで出向く必要があることもあります。
大切なご家族を亡くされて深い悲しみにある中、遺族年金などの請求のための手続を全てご自分でやるのは、精神的・身体的に非常にご負担かと思います。
当事務所は、 請求書類の作成、必要書類の取得などを全ておまかせいただける「遺族年金サポート」を提供しております。年金の専門家である社会保険労務士が 宮武勲が全ての手続を行いますので、お客様に面倒な手続きを行っていただく必要はありません。
また、遺族年金を受け取れるかどうか等のご相談も承っております。
お気軽にご連絡ください。