こんにちは。
相続遺言専門 行政書士宮武事務所の代表、行政書士の宮武勲です。
別記事「遺言の種類について」において、遺言の種類について、ご説明させていただきました。種類の中でも、自筆証書遺言と公正証書遺言が一般的によく使われています。
「自筆証書遺言と公正証書遺言については、何となく分かったけど、どちらを書けばいいかよく分からない」という方もおられるのではないかと思います。
そんな方のご参考の少しでもなればと思い、本記事では、両者の違いとして、メリット・デメリットに焦点をあてて、ご説明させていただきます。
1 公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言は、公証役場において、証人2人以上の立会の下、公証人に遺言内容を伝え、公証人が遺言を作成するものです。
メリットとしては、専門家である公証人が、遺言される方(遺言者)の遺言能力(認知症等の方は遺言を残す能力がないと判断される場合があります)、遺言内容等を確認して作成するので、法的に無効になる可能性が極めて低く、遺言者の意図どおりに安全・確実に相続手続きが行える可能性が高いです。
公証人が作成するので、本文を自筆する必要はありません。
また、公証役場に遺言の原本が保管されるので、紛失や、他者に書き換えられる恐れもありません。
遺言者が亡くなった後は、検認が不要なので、速やかに遺言を執行(実現)できます。検認とは、遺言が書き換えられたりしないよう、遺言の現状を保全するために家庭裁判所で行う手続きです。
デメリットとしては、公証人に作成してもらうために、公証人手数料がかかります。
公証人と遺言の内容等について事前に打ち合わせておく必要があるので、手間もかかります。
また、証人2名以上を用意する必要がありますし、その証人に遺言の存在と内容を知られてしまいます。
2 自筆遺言証書のメリット・デメリット
自筆証書遺言は、ご自分の直筆により遺言を作成するものです。
メリットとしては、公正証書遺言のようには費用がかからず、証人も不要なので、自分で簡単・気軽に作成できることが挙げられます。
また、証人が不要で、ご自分だけで作成するので、遺言の存在と内容を誰にも知られることはありません。
全文自筆で作成するので、相続される方(相続人)が遺言を見たときに、遺言者の想いが伝わりやすいこともあると思います。
デメリットとしては、ご自分で作成されるため、公証人が遺言者の遺言能力や遺言内容等について確認しているわけではないので、遺言の要件を満たさず法的に無効となる可能性があり、遺言の実現が不確実となる恐れがあることです。
また、せっかく遺言を作成したのに、それを相続人に知らせていないと、遺言自体が相続人に発見されない恐れや、ご自分で紛失したり、他者に書き換えられる恐れがあります。
更に、遺言者が亡くなった後は、相続人等が遺言の検認を受けなければ、遺言を執行(実現)することはできません(検認を経ず執行した場合、過料に処せられます)。
ただし、自筆証書遺言を作成して、これを法務局に保管してもらう制度(自筆証書遺言保管制度)を利用した場合は、紛失・書き換えの恐れはありませんし、検認の必要もなくなります。
簡単・気軽に作成できる一方で、全文自筆しなければならないので、それが負担に感じる方もおられると思います。
3 まとめ
公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット・デメリットをまとめると、以下のとおりとなります。
公正証書遺言 |
自筆証書遺言 |
|
メリット |
・公証人が遺言者の遺言能力や遺言の内容等を確認して作成するので、法的に無効になる可能性が極めて低く、遺言の実現が安全・確実。 ・公証人が作成するので、本文を自筆する負担はない。 ・原本が公証役場で保管されるので、紛失や、他者に書き換えられたりする恐れがない。 ・遺言者が亡くなった後、検認が不要なので、速やかに遺言を執行(実現)できる。 |
・費用がほとんどかからず、証人も不要なので、自分で簡単・気軽に作成できる。 ・遺言の存在と内容を誰にも知られない。 ・自筆のため、相続人に対して想いが伝わりやすいことがある。 |
デメリット |
・費用がかかり、公証人との打ち合わせ等手間がかかる。 ・証人が必要。 ・証人に遺言の存在と内容を知られる。 |
・遺言の要件を満たさず、法的に無効となる可能性があり、遺言の実現が不確実。 ・自筆証書遺言保管制度を利用しない場合、遺言書自体が相続人に発見されない恐れや、紛失、他者に遺言を書き換えられる恐れがある。 ・自筆証書遺言保管制度を利用しない場合、遺言者が亡くなった後、検認が必要。 ・全文自筆するのは負担になる方いる。 |
公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらがよいかは、ご本人のご希望次第です。
しかしながら、「自分の希望どおりに確実に相続させたい」、「相続人が円満かつスムーズに相続手続きができるようにしたい」、「相続人の負担を減らしたい」等の方には、公正証書遺言をお勧めします。
遺言を作成する目的自体が今述べたもの等であれば、その目的達成のためには、公正証書遺言の方が安全・確実ということになります。
公正証書遺言を作成する場合、公証役場に突然行ってすぐに公証人が作成してくれるわけではないので、遺言の内容・書き方について公証人と事前に打ち合わせることが必要です。
また、相続人との関係が分かる書類や相続財産の一覧等も準備する必要があります。更に、相続人は証人にはなれないので、ご家族等はなれない場合が多く、必要な証人を準備しなければなりません。これらのことを全てご自分でやるのは、時間と手間がかかり非常に大変です。
当事務所は、公正証書遺言作成に必要な手続きについてサポートさせていただきます。また、自筆証書遺言を作成する場合でも、法的に無効となる可能性を極限し、相続手続きが遺言者の意図どおりスムーズに行なえるようサポートさせていただきます。
相続遺言専門の行政書士の宮武勲が全てのお客様を担当させていただきます。
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