「相続税かかるの?いくらなの?」~相続税の手続きについて~

こんにちは。
相続遺言専門 行政書士宮武事務所の代表、行政書士の宮武勲です。

相続において、皆様ご心配なのは、何といっても相続税ではないでしょうか。
「相続税がかかるかどうか分からない」「いくらになるのか不安」「どうやって納めるか知らない」等、特に初めての相続であれば、ご不安やご心配は尽きないと思います。

実は、相続税は自分で計算して申告することになっています。
相続税がかかるかどうか、いくらになるかについても、自分で計算して求めることができます。正確な計算は専門家でないと難しいかもしれませんが、だいたいの目安であれば専門家でなくても把握できると思います。

本記事では、相続税についてご心配な方の参考に少しでもなればと思い、相続税の計算を含め相続税の手続きについて説明させていただきます。

(本記事は一般的な相続税の手続きについて記載しております。個別の相続のケースにおいて、相続税がかかるどうか、いくらになるか等については、必要に応じ、専門家である税理士に確認・相談されることをお勧めします。)

1 はじめに

相続税とは、相続又は遺贈によって財産を取得した人に対し、取得した財産額に応じて課される税金です。
取得した財産の合計が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告・納付の対象となり、対象となる人は全員、相続税の申告・納付をしなければなりません。
申告納税であるために、税務署から納付の案内等が来るわけではなく、相続税がかかるかどうか、いくらになるかについては、自分で計算しなければなりません(税理士に依頼することはできます)。
相続税がかかる人の割合は令和2年度は8.8%と少ないですが、計算間違いや申告漏れがあると、税務調査を受け加算税や延滞税がかかる場合があるので、注意が必要です。

以下、相続税の手続きの流れについて順を追って説明します。

2 課税財産の把握・評価

各相続人 (又は遺贈により財産を取得した人)の取得した課税財産を把握・評価し、課税価格を算出します。

(1)課税財産

現金、預貯金、不動産(土地、建物)、株式、投資信託、債権、自動車、美術品・骨董品・宝飾品、ゴルフ会員権等の相続財産が対象となります。
預貯金については、名義が被相続人以外であっても、被相続人が実質的に管理していたとみなされるものは、被相続人の財産として課税対象となります。

生命保険金、死亡退職金等は相続財産ではありませんが、相続税上は、「みなし相続財産」として課税対象となります。
被相続人が亡くなる3年以内に、相続人等が被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与額も対象となります(生前贈与加算)。   
相続時精算課税制度の適用を受ける財産も対象です。相続時精算課税制度とは、生前に贈与をした場合、贈与者ごとに2,500万円が非課税となり、非課税枠を超える価格の税率は一律20%となる一方、その贈与額は全て相続税の課税価格の対象とされる制度です。同制度を活用するか否かは任意です。

(2)非課税財産

墓地、墓石、仏壇、仏具等の祭祀財産は非課税です。
生命保険金・死亡退職金については、500万円×法定相続人の数が非課税となります。
また、交通事故等による損害賠償金も非課税です。

(3)財産の評価

現金・預貯金は、死亡日の残高となります。利子のつく預貯金については、残高に、死亡日における利息分から源泉徴収税額を差し引いたものを加えます(普通預金等、利子が少額なものは加えなくてもよいです)。

土地は、「路線価方式」又は「倍率方式」で評価します。どちらで評価するかは地域ごとに定められております。路線価方式は路線価×補正率×面積で、倍率方式は固定資産税評価額×倍率で求めます。家屋(自宅)は、固定資産税評価額と同額です。
なお、宅地等を一定の条件を満たす親族が取得した場合、土地等の評価額から最大80%が減額されます小規模宅地等の特例)。評価額の減額により、課税価格を低下させることができます。宅地が事業用か居住用であるか等の区分に応じ、適用となる面積及び減額率が異なります。

株式は、上場株式については、死亡日の終値、死亡月・その前月・その前々月それぞれの月の終値の平均値のうち、最低値により評価します。非上場株式については、類似業種比準方式、純資産価格方式、配当還元方式により求めます。

(4)債務控除等

債務(借入金)及び未払いの税金等は、課税価格から控除することができます。
また、葬儀費用についても控除できます。

3 相続税の計算

2 課税財産の把握・評価」により算出した各相続人等の課税価格をもとに、相続税を計算します。  ここでは、以下の事例をもとに計算していきたいと思います。
【事例】
・被相続人:父
・相続人及び相続財産(課税価格):母1億円、長男6,000万円、二男4,000万円

①各相続人の課税価格を合計

1億円+6,000万円+4,000万円=2億円

②課税価格の合計額から、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除し、課税遺産総額を算出

法定相続人は母・長男・二男の3人なので、
2億円-(3,000万円+600万円×3)=1億5,200万円

課税価格の合計額が基礎控除額以内であれば、相続税はかかりません。

③課税遺産総額を、法定相続人が法定相続分で取得したものとして、各法定相続人の取得額を算出

法定相続分は、母1/2、長男1/4、二男1/4なので、
・母  : 1億5,200万円×1/2=7,600万円
・長男 : 1億5,200万円×1/4=3,800万円
・二男 : 1億5,200万円×1/4=3,800万円

④上記取得額に応じ、速算表に基づく税率を乗じるとともに控除額を控除して、法定相続人ごとの相続税を算出

【速算表】

法定相続人の取得額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

母の取得額は7,600万円なので速算表の1億円以下の欄、長男・二男の取得額は3,800万円なので速算表の5,000万円の欄の税率・控除額を使用します。
・母  : 7,600万円×30%ー700万円=1,580万円
・長男 : 3,800万円×20%ー200万円=560万円     
・二男 : 3,800万円×20%ー200万円=560万円

⑤上記の各法定相続人ごとの相続税を合算し、相続税総額を算出

 1,580万円+560万円+560万円=2,700万円

⑥課税価格の合計(①)に占める、各相続人が実際に取得した課税価格の割合で、上記の相続税総額を配分し、各相続人の相続税を算出

・母  : 2,700万円×(1億円/2億円)=1,350万円
・長男 : 2,700万円×(6,000万円/2億円)=810万円 
・二男 : 2,700万円×(4,000万円/2億円)=540万円

以上により、各相続人の相続税は、母1,350万円、長男810万円、二男540万円となります。

4 相続税の軽減・加算

3 相続税の計算」により算出された各相続人等の相続税について、下記の軽減・加算措置があります。

(1)贈与税額控除

被相続人が亡くなる3年以内に、相続人等が被相続人から受けていた贈与額は、相続税の課税財産の対象となりますが(生前贈与加算)、贈与の際に課された贈与税については、二重課税防止のために、当該贈与を受けた相続人等の相続税から控除します。

(2)配偶者の税額軽減

配偶者が取得した遺産は、1億6,000万円又は法定相続分相当額どちらか多い金額までは、相続税がかかりません。この適用を受けるにあたっては、税額がゼロになる場合でも相続税申告が必要です。

(3)未成年者控除

日本国内に住所のある未成年である法定相続人は、10万円×(18歳-相続開始時の年齢)が、相続税から控除されます。

(4)障害者控除  

日本国内に住所のある85歳未満の法定相続人で、一定の要件を満たす障害者は、10万円×(85歳-相続開始時の年齢)が、相続税から控除されます。   
※上記10万円は、特別障害者については20万円

(5)相次相続控除  

父親から母親へ(第一次相続)、母親から子へ(第二次相続)等のように、10年以内に相続が連続した場合は、第一次相続において納付した相続税の一部を、第二次相続における相続税から控除することができます。

(6)外国税額控除  

相続人等が取得した国外の遺産について、外国の法令による相続税に相当する税が課される場合は、二重課税防止のために、当該税額を控除します。

(7)相続税の2割加算

配偶者・子・親以外の人が財産を取得した場合、相続税は2割加算されます。
既に亡くなった子を代襲して孫が相続する場合は加算されませんが、孫を養子としている場合(孫養子)は加算されます。

5 相続税の申告・納付

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告します。
納付の期限も同様ですが、納付場所は最寄りの金融機関又は所轄税務署となります。金銭で一括納付が原則です。それが難しい場合は分割払いの「延納」、延納難しい場合は債券・不動産等の物で支払う「物納」が例外的に認められることもあります。
相続税の申告が必要な相続人等が複数いる場合は、全員が申告をする必要がありますが、共同して申告するのが一般的です。  

納付が遅れた場合は、延滞税を納付する必要があります。
また、計算間違いや申告漏れがあると、税務調査を受け加算税や延滞税がかかる場合がありますので、注意が必要です。ちなみに、相続税申告件数のうち約10%程度が税務調査(実地調査)の対象となっているようであり、そのうち8割以上が申告漏れ等の違反の指摘を受けています。

6 おわりに

上述したように、課税価格の合計が基礎控除額内であれば、相続税の申告・納付の必要はありません。
しかしながら、相続税の計算は複雑であり、計算間違いや申告漏れがあると、税務調査を受け加算税や延滞税がかかる場合があります。
ご不安な方や、ある程度の財産を相続された方は、専門家である税理士に相談するのが無難です。

当事務所は、相続手続きを一括してサポートさせていただいております。相続遺言専門の行政書士の宮武勲が全てのお客様を担当させていただきます。相続税について税理士に相談が必要な場合も、当事務所が窓口となり対応させていただきます。
お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

行政書士 宮武 勲(みやたけ いさお)

行政書士 宮武 勲(みやたけ いさお)

行政書士宮武事務所の代表行政書士。香川県の田舎育ち。慶応大学卒。
陸上自衛隊の幹部自衛官として長く勤務し、戦車中隊長、防衛省中枢での勤務、外務省出向、フィリピン台風への災害派遣等を経験。1等陸佐(大佐)で退官。
「人の身近なことで役に立ちたい」という思いと父を亡くしたときの経験から、相続遺言専門の行政書士として、第二の故郷である東京の中野で開業。高齢者の方の生活支援・ボランティア等の活動も行っている。
趣味は旅行・社会科見学、好きな食べ物はさぬきうどん、好きな動物は犬・猫・ハムスター。